ニチアス

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サステナビリティ

Sustainability

気候変動への取り組み

ニチアスグループカーボンニュートラル宣言

地球温暖化による気候変動問題への対応を、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、成長の機会と捉える時代に突入したことを背景に、2020年10月に日本政府がカーボンニュートラル宣言を行いました。また、プラスチックによる海洋汚染、乱獲による貴重な天然鉱物・生物資源の損失を防止するために、資源循環・生物多様性保全に向けた決まりが世界各国で策定されています。


このような中、当社グループの事業活動においても、2050年のカーボンニュートラルを目指すこととしました。さらに、カーボンニュートラル社会で貢献できる製品を環境負荷が少ない状態で製造し続けられるよう、製造事業場(グリーンファクトリー)と製品開発(グリーンプロダクト)において、2030年度に向けた中期環境目標を設定しました。

カーボンニュートラルに向けた活動

当社グループは、2030年度の二酸化炭素排出量を、2019年度(基準年度)比30%削減を目標に活動しております。活動は①脱炭素につながるものづくりへの転換、②全事業場における徹底した省エネルギー、③再生エネルギーの積極的活用の3本柱で進めています。
 

  1. ①脱炭素につながるものづくりへの転換
    製品製造時の二酸化炭素排出量が特に多い製品については、カーボンニュートラルに向けての当社の重点課題と捉え、事業部門・研究開発部門・製造部門の領域を超えて全社で排出量の削減に努めています。二酸化炭素排出量の少ないエネルギーへの転換はもとより、低炭素で製造できる製法を検討しています。またライフサイクルをとおして低炭素な製品の開発、移行も実施しています。
  2. ②全事業場における徹底した省エネルギー
    省エネ活動は、従来から実施していますが、本年度から全事業場活動として「トンボエコチャレンジ30」というキャッチフレーズのもと、①自社省エネ技術・製品の活用、②各種省エネ機器の導入、設備更新、燃料転換の実施、③全製造ラインでの不良低減・生産性向上活動によるエネルギーの無駄削減、そして④全従業員の意識・行動による日々の省エネ徹底を一つひとつやり切ることを目標に活動をリスタートさせています。
    このような活動を促進するため、2021年度に省エネ設備投資ガイドラインを策定しました。社内炭素価格(インターナルカーボンプライシング)を導入し加算することで、二酸化炭素削減につながる設備投資を促進しています。
  3. ③再生エネルギーの積極的活用
    国内事業場全体で約2,000t-CO₂削減を目標に、当社製造建屋の屋根上などへの太陽光発電の設置を積極的に進めております。また、地域の再エネ由来電力の購入、環境証書の購入などを推進しています。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への対応

激甚災害が増加し、経済活動が停滞するなど、気候変動がグローバルに様々な影響を及ぼすことが問題になるなか、当社グループは「断つ・保つ」の技術を基盤とした保温・断熱・保冷などの機能を備えた製品およびサービスの提供を通じ、CO₂排出量削減に貢献してきました。当社グループは、気候変動を地球の明るい未来に対する多大なリスクと捉え、地球温暖化の緩和と適応の両面から積極的に活動を推進しております。

当社グループは、2021年4月にカーボンニュートラル宣言を制定し、2030年度にCO₂排出量を2019年度比で30%削減することを目指し活動しております。また、2023年6月には、気候変動問題に適切に対応すべく、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明しました。今後は、さらなる脱炭素活動を推進するとともに、気候変動に関する情報開示をさらに積極的に進めてまいります。

 

ガバナンス

当社グループは、ニチアス環境憲章において、「断つ・保つ」の技術を活かし、地球温暖化をはじめとするさまざまな環境負荷を低減し、持続発展可能な社会の実現に貢献することを宣言しており、気候変動対応を重要事項と捉え、全社環境委員会を中心に、環境負荷を低減した製品開発および製造事業場の環境負荷低減を推進しております。

全社環境委員会は、代表取締役社長を委員長として、取締役および各本部長から構成され、当社グループの気候変動を含む環境問題にかかわる課題についてリスク・機会の分析や取り組みの立案・推進、中期環境方針の策定・進捗管理などを担っております。全社環境委員会の下には工場部会を設置し、工場部会は、製造事業場の脱炭素目標の達成状況などをチェック、当社グループ全体のパフォーマンスの向上等について議論することにより、製造事業場を監督・指導しております。
全社環境委員会は、四半期に一度開催され、その討議事項は取締役会に報告し、取締役会の意見は気候変動対応をはじめとする環境対応へ反映しております。

リスク管理

当社グループは、2030年度を想定し、将来における気温上昇として、1.5℃と4℃の気温帯のシナリオを用いてシナリオ分析を実施しております。具体的には、カーボンニュートラル推進室が中心となって、当社グループ全体のサプライチェーン、各プロセスを想定し、気候変動リスクの洗い出し、分析を実施し、重要な影響を及ぼす事象への対応を進めております。分析で洗い出されたリスクに対する対応策の進捗については四半期に一度開催している全社環境委員会で重要リスクを認識したうえで、必要に応じて取締役会で審議し、リスク回避などの対応やリスク発生時の影響低減に向けて活動を推進しております。

戦略

当社グループは、国際エネルギー機関(International Energy Agency;IEA)が発行しているWorld Energy Outlook等から、 2030年度を想定し、低炭素社会への移行が進む1.5℃シナリオ(NZEシナリオ)および気候変動が進む4℃シナリオ(STEPSシナリオ)に基づくシナリオ分析を実施し、気候変動によるリスクと機会のインパクトを評価しました。

1.5℃シナリオにおけるCO₂排出およびエネルギー調達に対する炭素価格の影響は大きく、2030年のCO₂排出削減対策実施後に当社グループで約26億円の炭素税賦課額※が見込まれ、操業コストが増加する可能性が示されました。この対策として、2050年カーボンニュートラルに向けたCO2排出量削減計画を着実に進めると同時に、環境貢献の高い製品が創出する市場価値を製品・サービス価格に反映していきます。
※World Energy Outlook 2022より、先進国140ドル/t-CO₂、新興国25ドル/t-CO₂[2030年、1.5℃シナリオ]として計算

 

気候変動によるリスクと機会のインパクト

(注)表中の太枠内に記載された項目は、提出日現在において、当社グループが重要性が高いと判断した項目であります。

 

さらに当社グループの各セグメントについて1.5℃シナリオにおけるリスクおよび機会の事業インパクトを算定しました。結果は下表の通りです。算定した各インパクトへの適切な対応を進めていきます。

1.5℃シナリオにおけるリスクおよび機会の事業インパクト

(注)表中の太枠内に記載された項目は、提出日現在において、当社グループが重要性が高いと判断した項目であります。

 

指標及び目標

当社グループは、2021年4月に2050年のカーボンニュートラルを目指すこととし、中期目標として2030年度のCO₂排出量を、2019年度(基準年度)比30%削減することを目標に活動しております。活動は①脱炭素につながるものづくりへの転換、②グループ全体における徹底した省エネルギー、③再生エネルギーの積極的活用の3本柱で進めております。

 
① 脱炭素につながるものづくりへの転換

製造時のCO₂排出量が特に多い製品については、カーボンニュートラルにむけての当社の重点課題ととらえ、事業部門・研究開発部門・製造部門の領域を超えて全社で排出量の削減に努めております。CO₂排出量の少ないエネルギーへの転換はもとより、製法の低炭素化も検討しております。また、ライフサイクルを考慮した低炭素製品の開発、移行も実施しております。

 
② グループ全体における徹底した省エネルギー

省エネ活動は、従来から実施しておりますが、
・自社省エネ技術・製品の活用
・各種省エネ機器の導入、設備更新、燃料転換の実施
・全製造ラインでの不良低減・生産性向上活動によるエネルギーの無駄削減
・全従業員の意識・行動による日々の省エネ徹底
を、ひとつひとつやり切ることを目標に活動をリスタートしております。このような活動を促進するため、2021年度に省エネ設備投資ガイドラインを策定しました。社内炭素価格(インターナルカーボンプライシング)を導入し、CO2削減につながる投資を促進しております。
社内炭素価格の効果もあり、2022年度に投資した設備によりCO₂削減目標の基準年度である2019年度CO₂排出量の約1.5%に相当する約4,000t-CO2/年の削減が見込まれます。
※2022年度は10,500円/t-CO₂に設定し、2023年度は12,500円/t-CO₂に設定

 
③ 再生エネルギーの積極的活用

製造建屋の屋根上などへの太陽光発電装置の設置を積極的に進めており、先行して実施している国内拠点においては、2025年度までに約2,000t-CO2/年の削減を目標に活動しております。また、地域の再エネ由来電力、環境証書の購入などを推進しており、2022年度は太陽光発電装置、環境証書の購入により、電力に対する再エネ比率は2021年度の0.5%から3.0%に向上しております。