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VOCとは何か

~ 発生源から排出基準まで全解説 ~

VOCという言葉を耳にされたことはあるでしょうか? VOCは光化学スモッグの原因となり、人体への悪影響も指摘されている物質です。国は大気汚染防止法を改正し、VOC排出規制に本腰を入れています。ここでは、VOCとは何か、その発生源や排出基準などについて解説します。

VOCとは何か ――VOCの定義と種類

VOCは揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称です。大気中の光化学反応により、光化学スモッグを引き起こす原因物質の1つとされており、揮発性があり、大気中で気体状となる有機化合物の総称です。
VOCに該当する物質は、トルエン、キシレン、1,3,5-トリメチルベンゼン、酢酸エチル、デカン、メタノール、ジクロロメタンなど。約200種類と非常に数が多く、塗料溶剤(シンナー)、接着剤、インキ、一部の洗浄剤などが発生源となります。

VOCの発生源はどこにある?

VOC の発生源として塗料、燃料、化学品、印刷インキ、接着剤からの排出が全体の78%を占めます。平成26年のVOC排出量の発生源をみると、塗装40%が最も多く、次いで燃料(蒸発ガス)19%、化学品7%、印刷インキ6%となっています(出典:経産省・環境省)。
一方、国立環境研究所は、VOC発生総量における自動車関連のVOC排出量の占める割合を27%と発表(2005年)。自動車製造や補修に伴う発生を加えるとさらに大きな割合になるとしています。

VOCに関する規制 排出基準に注意しよう

国は、浮遊粒子状物質(SPM)や光化学オキシダントによる大気汚染や健康被害に対処するため、2004年(平成16)5月に大気汚染防止法を改正、VOCの排出規制を2006年(平成18)より開始しました。この法律により、「法規制」と「自主的取組」を適切に組み合わせ、SPMやオキシダント生成の原因物質であるVOCの排出抑制の推進をめざしています。

VOC排出量が多いと思われる以下の施設を法規制の対象として定めています。

  • 塗装施設及び塗装後の乾燥・焼付施設
  • 化学製品製造における乾燥施設
  • 工業用洗浄施設及び洗浄後の乾燥施設
  • 印刷施設における印刷後の乾燥・焼付施設
  • VOCの貯蔵施設
  • 接着剤使用施設における使用後の乾燥・焼付施設

排出施設の用途や規模に応じて、約400ppmCから60,000ppmC程度の排出基準を設定。法規制の対象となった施設が、排出基準を満たさなかった場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法第33条)が科せられることがあります。また、届出義務違反についても、3カ月以下の懲役または30万円以下の罰金(法第34条)などの罰則が科せられるので注意しましょう。

VOCの測定方法にはどのようなものがあるのか

排出ガス中のVOCの測定方法は、以下の2種類となります。(出典:中央環境審議会大気環境部会 揮発性有機化合物測定方法専門委員会)

直接測定

試料が、分析計の測定レンジを超えない濃度であった場合に使用する測定法。排出ガスを採取した捕集バックから直接分析計に導入します。

希釈測定

試料が、分析計の測定レンジを超える濃度であった場合用いられる測定法。排出ガスを採取した捕集バッグから排出ガスの一部を採取し捕集バッグに注入。濃度を希釈して分析計に導入します。

また、排出ガス中のVOCの測定には、以下の2種類のいずれかの分析計を使用します。

触媒酸化-非分散形赤外線分析計(NDIR)

排出ガス中の揮発性有機化合物を加熱した触媒で二酸化炭素に酸化し、その濃度を赤外線の吸収強度から測定します。

水素炎イオン化形分析計(FID)

水素炎に試料を加えたときに生じるイオン電流を測定し、揮発性有機化合物の濃度を測定します。

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